目薬はどのようなものがあるのでしょうか?「病院や診療所で処方する目薬」と「薬店で販売している目薬」は区別して考えてください。
血管収縮剤を含む点眼薬は、コンタクトレンズ装用者には好ましくありません。目薬の箱に充血をとると書いてあるものは、この成分が入っています。血管収縮剤は、結膜(しろめ)の血管を無理やり収縮させるため、眼への酸素の供給が少なくなり、コンタクトレンズ装用眼は酸素不足でピンチになります。
また、目薬の効果がきれたときには、リバウンドで充血がかえってひどくなり、いつも充血した赤い眼になってしまいます。
また、涙の分泌を抑制し、ドライアイ症状を悪化させますので、できれば、血管収縮剤を含む点眼薬は、レンズをはずしている時も使用しないほうが良いでしょう。
点眼びんのなかに細菌やカビが繁殖しないよう防腐剤が添加されています。防腐剤の添加されていないソフトサンティアは、開封後10日で捨てなくてはいけません。防腐剤の入っている点眼薬も、開封したら1ヶ月で捨ててください。なぜなら、防腐剤も濃度が濃くなると角膜に影響が出るため、最近はその濃度を薄くしているからです。
塩化ベンザルコニウムという防腐剤は、コンタクトレンズに吸着して角膜上皮に障害をおこす可能性が高いため、涙液型点眼薬にはあまり使用されていません。
市販の疲れ目用などの目薬には濃度が濃く含まれていますので、コンタクトレンズの上からは絶対に点眼しないでください。
ソフトレンズの上から点眼できると書かれた涙液型点眼薬は、塩化ベンザルコニウム以外の毒性のほとんどない防腐剤を使用しているので、コンタクトレンズの上からでも点眼できます。
30年以上前まで、眼科医のことを「眼洗い医者」と呼んでいました。なぜなら、抗生物質などの目薬がなかったため、細菌性結膜炎の場合、ホウ酸水で眼を 洗って細菌の数を減らすことによって治療するしか方法がなかったからです。今は、効果のある目薬がたくさん出てきたので、眼科で眼洗いをするところはほとんどありません。眼を洗うと言うことは、涙の層をみだし、角膜表面を痛めることになります。従って、50年前に眼洗い医者で洗眼した後、軟膏を眼に塗っていました。現在、自宅で洗眼液を購入して洗眼している人がいますが、これはあまりおすすめできません。できれば、洗眼はしないようにしてください。原因不明の角膜の軽い傷を作って受診した患者様にお聞きすると、洗眼をしているという方が時々います。洗眼をやめてもらうと治ります。これについては、私が学会で発表しましたし、他の研究者も洗眼はよくないという結果を発表しています。理由としては、アイカップを用いた洗眼液は、洗眼時に瞼やまつげについているゴミを眼に入れて、かえって眼の表面が汚れることがあるためです。また、塩化 ベンザルコニウムという防腐剤が目薬の5~10倍も添加されているので、塩化ベンザルコニウムの毒性によって眼を傷害することがあります。もちろん、水道水による洗眼は、もっと危険ですので、洗眼はしないでください。瞼についたメヤニをとる場合は、眼を閉じて、軽く水で眼のまわりをすすいでください。眼の表面のメヤニは、涙型点眼薬をさすと流れます。