大阪梅田のワタナベ眼科(ディアモール大阪内)|コンタクトレンズ情報

渡邉 潔のコンタクトレンズ情報ネットワーク

大阪市 ワタナベ眼科  渡邉 潔
Contact Lens Ophthalmologists in JAPAN  (Kiyoshi Watanabe M.D.)
薬事法改正について

平成17年4月から実施される薬事法一部改正については、厚生労働省のQ&Aがでていないが、診療所との構造上の区別は行わなくてはならない。

私の個人的意見を述べさせて頂くと、薬事法改正により、コンタクトレンズの処方・販売・診察のうち、販売を独立させ、処方せんなし(診察なし)に販売できるようにする動きがあることはひじょうに困った事態である。薬事法改正の内容に、診察や処方せんの義務化については何も述べられていない。アメリカでは、医師が直接販売してもよいことになっており、患者がインターネットで購入する時も、必ず、コンタクトレンズ処方せんがなければ購入できない。日本もコンタクトレンズ処方せんに従って販売を義務づけるように薬事法に明記して頂きたいものだ。

また、法改正が実施された場合、診療所と販売店の境界の明確化が言われ、診療所の改造が必要になったり、CLの処方を断念する眼科専門医も多くいる。販売会社を設立していたが、販売届けを都道府県の薬務課に届け出ていなかったなどの話も聞き、年金の未払い問題のようなうっかりミスもある。現在のところ、一部の眼科専門医は薬事法改正の事の重大さに気がついているが、ほとんどの眼科専門医は情報すら得ていないので、関係団体には早急の対応をお願いしたい。
混合診療について

混合診療が導入されれば、病気の一部は保険でカバーされなくなる可能性があります。人ごとではありません。

2004年度中にも混合診療を開始すると小泉首相は発言しています。国民が、その内容を知って、絶対に阻止しなければなりません。日本では「国民皆保険」の制度でほとんどの国民が保険にはいっています。ほとんどの病気の場合、診察を受けたら3割を自己負担するだけでよいシステムになっています。しかし、財政困難と規制緩和を理由に混合診療を導入しようとしています。これが導入されると、将来、軽症の病気の場合は保険外(自由)診療になる可能性があります。内科では風邪や腹痛、眼科ではコンタクトレンズに関する診療やアレルギー性結膜炎などの診察代・治療代は全額が自己負担になります。また、現在は医師しか処方できない薬(効果の強い薬)をコンビニなどで販売できるように計画しています。これは、病気にかかった場合、医師のところに行く前に市販薬で治させ、医療費を節減するためと考えます。腹痛で、売薬を買って内服していても治らず、医師のところに行った時は癌だったとしても、それは自己責任ということのようです。そうなると、現在の健康保険以外に、軽い症状でもカバーしてくれる私的保険に入らなくてはなりません。私的保険の場合、その保険会社が経営している病院や指定した診療所で診断を受けることになりますが、処方する薬は保険会社が許可したものしか処方できません。政府の経済財政諮問会議のメンバーには、この私的保険や株式会社の病院に参入しようとしている民間人もいます。

小泉首相は、アメリカ式の健康保険のシステムを理想としており、今の医療の市場を2〜3倍にすると計画していますが、その負担は全部国民の負担になります。現行の健康保険は医療の一部しかカバーしてくれないことになります。たとえば、風邪をひいたら、
薬をコンビニで購入して(10割負担)、
症状が改善しなければ私的保険(私的保険への保険料がまったく別に必要)が指定した医療施設へ受診(3割負担)もしくは自己負担(10割負担)で一般の(私的保険が指定する以外の)診療所にかかる。
癌などで高度の医療を受けるときは、保険外診療(10割負担)になってしまいます。

これでは、だれも現行の健康保険には加入しなくなり、年金制度のようにますます財政が苦しくなり、国民皆保険は崩壊してしまいます。私的保険のアメリカでは、4,000万人が保険に未加入です。

国民が、国民皆保険を崩壊させる「混合診療導入」に反対することが大事です。
レンズケースは定期的に変えないといけないでしょうか?

ハードレンズの場合、だいたい3〜6ヶ月で交換してください。
ソフトレンズの場合は、1〜3ヶ月で交換してください。消毒液を購入すると必ず箱の中に新しいレンズケースがはいっています。(レニュー、レニューマルチプラスには添付されていませんので、他の消毒液をおすすめします)
ボトルを変える時に必ず古いレンズケースを捨てて、新しいレンズケースを使用するようにしてください。
レンズケースが古いと細菌が繁殖し、細菌の毒素がレンズにつくと、1週間で治るような眼の傷でも、1〜3ヶ月も治らないことがあります。
洗眼液(アイボン)について

アレルギー性結膜炎の患者で、原因不明のびまん性の点状表層角膜症をみることが多くなり、問診してみると、ほとんどの患者がアイボンを用いて30秒以上の洗眼していました。これについては、1999年の角膜学会で発表しましたが、アイボンに含まれる高濃度の塩化ベンザルコニウムに長時間さらされることが影響していると考えられます。ロートジーフラッシュは、塩化ベンザルコニウムの濃度が薄く、障害はほとんどないようです。アイボンでも、短時間の洗眼では障害は起こしません。また、角膜のムチン層を剥がして涙をはじいている可能性も考えられましたが、実際に涙液スペキュラーで観察するとそのような所見はみられませんでした。従って、アイボンが悪いといっているわけではなく、洗いすぎが障害を作るようです。なお、アイカップを使用するため、眼瞼に付着しているよごれを眼内にいれることも、好ましくないと思います。
昔は、眼科医は眼洗い医者と呼ばれていました。抗生物質などよい点眼薬がなかったから、雑菌を洗い流すしかなかったのです。洗眼は短時間でしたし、洗眼したあとに軟膏をいれて眼表面を保護していたので、ドライアイなどの障害はなかったのです。
CLをはずした後に、充血をとる点眼薬を使用してよいか?

薬局・薬店で販売している血管収縮剤入りの点眼薬は、リバウンドで充血がひどくなったり、ドライアイをつくる可能性がある(個人差がある)ため、私は、コンタクトレンズをはずしている時もできるだけ使用しないように説明しています。クールとつくものも刺激物を添加していますので、あまりすすめていません。市販点眼薬については、1999年のCL学会の講習会で発表しました。

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